ouvrons une pâtisserie!
紅茶グマ開業日記
2001年8月
8月24日   店舗設計                                
店舗設計、と、大げさに言う必要もないくらい小さい9坪の店だが、それでもやっぱり、内装工事が必要となる。
自分で適当に導線を考えることは可能だが、外側はやっぱり自分でやるのはどうだか…ということになり、取り合えず友達の紹介で設計士さんに会うことになった。

設計士さんのチョイスというのは、かなり難しいと思う。
やっぱり、北島サブちゃんみたいなおじさんに、内装をお任せするのはちょっと勇気がいる。
かと言って、あまり法外な値段で設計費をふっかけてくる中条きよしみたいなゴージャスなところも無理。こっちが素人な分、向こうはいくらでもなんとでもなるのだから、余計慎重にならざるをえない。

最初の建築事務所で、坪60万の内装費…と言われた。びっくりして、ほかをあたったが、なかなかセンスと金額が折り合わない。
関西にある知り合いのレストランは、土地代も含めてだけど、総額1億円かかったそうで、埼玉の友達のビストロも、内装費だけで、私の全財産を上回る金額がかかっていた。
最初はなににそんなにお金がかかるのか、さっぱりわからなかったが、内装及び外装工事、厨房器具購入費及び取りつけ工事、看板などのとりつけ工事、 既製家具、店内装飾備品、設計費、電気設備工事、空調・給排水設備工事、と、そのほかにも敷金礼金やラッピング用品など包材の確保、と、
 「キャー!私が悪うございました!」
 と、ひれ伏したくなるくらい、お金がかかる。
電気設備の方はたぶんパパのお父さん、ダディが電気工事会社だから、おごってもらえそうだけど、それでもねぇ…

そこで知り合いの方から紹介していただいた、Kさんは、サブちゃんでもなく、ゴージャスすぎず、どっちかと言うと寡黙な感じで、山崎まさよし風な風貌だった。
この山崎まさよしくんの言うことにゃ、小さいお店だから、できるところは私たちで、テラコッタのタイルを貼ったりするくらいのことは、やれば節約になるんじゃないか、と言ってくれた。
金額も、ひと坪あたり、みど姉希望出費価格となんとか折り合いがつきそうな感じになってきた。
いいぞいいぞ。
 「私がギャンブルにとち狂って、借金が出来たと思えばなんとかなるよね!」と
まさよしくんとの打ち合わせのあと、パパに電話して言ってみた。
 「……」
パパがあきれて黙っていたので、
 「じゃ、私が外車をドーンと買ってさ…」と、別の例えをぶっ放したら、
 「あのね…もっとましな発想はできないわけ?」
と、途中で打ち切られてしまった。

ハーイ、失礼しました。だって、お店やるのって、鼻をつまんで、どぼんと川に飛びこむようなもんじゃないかい?
無謀な私にも、なにか勇気を出して飛びこむ、ちょっとした踏ん切りが欲しかったのだ。
8月29日    資格を取る
「まだ取ってないの!」とみんなにあきれられつつ、銀座の中小企業会館という所に、食品衛生責任者の資格を取りに行く。
まず、製菓店をやりたいひとが、なにか資格が必要と問われるならば、やっぱ、この食品衛生責任者の資格でしょう。それはどんなことをすればとれるか?っちゅうと、拍子抜けするほど簡単。
食品衛生協会に問い合わせて、講習会の日程を教えてもらい、自分の希望日をハガキに書いて送り、向こうからの返事を待って、講習を1日受ければ、その場で取れちゃうのだ。

私が講習会に行った日にも、たくさんのひとが講習を受けに来ていたが、私の右隣に座っていたオヤジなんて、始終、携帯電話で競艇かなんかの情報を見ていた。
そして左隣に座った女のひとは、勤務先の店名に、「
魑魅魍魎」と書いてあった。
 「魑魅魍魎って、いったいどんな飲食店なんだろう???」と、そのことで、私の頭の中はいっぱいになってしまった。
最初から爆睡しているひともいたし、「なんだかねー。」という感じだった。
私もせっかく来たんだから、講習の方に集中しようと努力したが、昼休みのあと、いきなり部屋を暗くされ、宮尾すすむ主演「食品衛生責任者のあらまし」なるスライドが登場した段階で、ガクッときて、カーテンが開くまで、うとうとしてしまった。
恐るべし、宮尾すすむ。

以 前、アルバイトで、「テープ起こし」をやっていて、テレビのコントから、本を作るための、タレントやプロレスラーのインタビューまで、様々な録音テープを文 字に直していくのが私の仕事だったが、中でも、いろんな意味で、もっとも苦しかったのが、宮尾すすむのインタビューだった。
おまけに本が出来上がったと言って、宮尾すすむが、「ハイッ!」のポーズをして、片手を顔に添えている大アップが表紙の本を、バイトの親方からプレゼントされた時は、しかるべき時がきた…って感じだったのだ。

そんなことはどうでもいい。

食品衛生責任者の講習内容は言葉の通り、食品を衛生的に管理する責任のあるひと。
以前は、東京でこの資格を取ったら、東京以外で店をやる場合、取りなおしが必要だったらしいが、全国共通になったことと、講習会が2日間だったのが、1日で取れるようになったこと。そのぐらいである。
講習会で印象に残ったのは、横の女のひとの勤める「魑魅魍魎」のことと、寝てしまってほとんど見てないのに、やっぱ気になる宮尾すすむって、スゴイ!ってことぐらい…
なんかくだらない気もするが、これがなきゃ店やれないって言うんだから…履歴書の資格欄にも華が添えられるし…ね!(なにが、ね!なのか…)

8月、店舗設計の設計士さんも決まったし、食品衛生責任者の資格も取ったし、
ホッとひと息した記憶があります。
だけど…こんなのまだまだ序の口だったんです…。

next