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パリに暮らしていたことがありました。
パリは、ヨーロッパ各地への玄関みたいなもので、
思い立って着の身着のまま夜行列車に乗り込めば、
翌朝には、ドイツでもスペインでもイタリアでも、
とにかく、違う国の見知らぬ街の駅に立つことができます。
食いしん坊である妻と私とは、
そうやって、何度も気軽な旅をし、
おいしいものはないか、珍しいものはないか、
と、目を皿のようにして歩き回ったものです。
高級レストランなど知りませんが、ごく普通のお店の、
何でもない食事の中に、との土地の匂いを嗅ぎとる時間ほど
愉しいものはないように思えます。
そんな時間の数々を、エッセイとして切り取ってみました。
少しでも楽しんでいただけたら、幸いです。
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