■ パリは変わった

Paris changeant
Kちゃんと、食事をしに行った。

日本の話、フランスの話を、かわりばんこにする。
「みどりさんがいた頃のパリは、もうないねんよ」
Kちゃんが、ちょっと淋しそうに言う。
「そうなの?」
「個人店はどんどんなくなって、チェーン店ばっかりになってしまって・・・。」

確かにユーロは高いし、スタバがカフェと並んで建っているし、寿司屋がいたるところにあふれてるし、マックまである。
小さな個人店がめっきり減ってしまって、淋しい。
サン・ルイ島にあった、私が大好きだった食料品店も、もうなくなっていて、ガランドウになっていた。
みんなみんな、どこに行ってしまったんだろう。
かくれんぼしていて、出てきたら、友達が誰もいなくなっていた夕暮れみたいな淋しさ。

そう言えば、お店の店員さんたちが、とても愛想が良くなっている気がしたな。
きっとチェーン店で教育されてるからなのかなあ。
愛想がいい方がもちろんいいけど、なんかプライドがあって、素っ気ないサービスが、ちょっと懐かしいな。

パリは変わった。たぶん、そうかもしれない。でも、なにも変わらない街なんて、きっと存在しない。
でも、変わってしまったとしても、私の中に、パリは存在している。
それは、地下鉄の階段を上がって、出口が見えてきた瞬間に吹き上げてくる風だったり、雨上がりにふっと振り返った時の、空気の匂いだったりする。それは、遠く離れた故郷のことをふっと思い出す時と、同じ感覚だ。
変わったからと言って、もう来たくないとは思わない。
たぶんアイツは変わったよ、とか文句言いながら、やっぱり消息を気にしてしまう、古い友人のようなもんだと思う。

レ・アールやモンパルナスの大きなメトロの大きな駅を、歩いている時間が好きだ。
何車線(?)もある、いつ果てるともわからない、動く歩道を歩いていく、無数の人たち。雑多な人種の中に紛れ込んでいて、とても乾いた空気が自分を包んでいる。
私は旅行者で、でも、全然知らない街じゃない。目的地ははっきりしている。とても安心して、自由な気分になれる。
それがパリ。

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