■ モンジュ広場の朝市

le marché Monge
モンジュ広場のマルシェは、週に3回。午前中のみ。
だから、旅行者にとっては、この日に行くと決めたら、たとえ雨が降ろうが槍が降ろうが行かなければならない。

朝市に行くと決めた朝、パリの空はかなり荒れていた。
冷たい大粒の雨。傘はない。
どうしてムッシュは傘を差さないんだろう。むかしそのことについて聞いたら、
「それは、ボクがパリジャンだからだよ!」と、バカみたいな答えをされた記憶がある。
そう、ムッシュ=パリジャン説は置いておくとしても、パリのひとは、少々の雨だったら傘を差さない。

でも、その朝、傘をさしてないのは、ムッシュと私、ふたりだけだったと思う。
「朝市に行けば、テントがあるから、濡れないしー」
「一日中、雨が降るわけじゃないしー」
そんな思いから、私たちは傘無しで、外に出た。

で、ここで、問題発生。
ムッシュのカードでお金がおろせるキャッシュディスペンサーが、歩いても歩いても、見つからなかったのだ。
最初はおとなしく、コートのフードをかぶり、(日本じゃ絶対ありえん格好)、マタギルックで、ムッシュの後をついて歩いていたが、
「なんで、こんな使えんカードを、わざわざ日本から持ってきたんじゃい!」という、怒りが沸々と湧き上がり、やっと、ホテルからメトロ2駅ほど歩いたところにある銀行の窓口で、お金を手にし、外に出た時、
「この冷たい雨の中、また同じように歩いて、マルシェまで行かなくちゃならんのかい!」と思うと、もう、とうとう我慢できなくなり、ついに、ムッシュに、今まで我慢してきた諸々のことを、雨の中、ピョンピョン飛び跳ねて(怒ると、私は飛び跳ねる癖がある)、ぶちまけた。

最初は、「ごめんね...」と、謝っていたムッシュだが、私の尽きる事のない口撃に、「だってさ、きみだって、なんでパン買うときも、コーヒー注文するときも、自分で買わずに、ボクに頼むわけ?」
と、思っていたことを言い出したので、わめいている私たちの脇を歩いているパリジャン達には、失笑ものだったと思う。あ、でも、この低俗な内容が彼らに伝わらなかったのが、まだ不幸中の幸いか...

私は、「もう、いい!ばーか!」と、言って、もときた道を走り出した。
「待ってよ!どこいくのさ!」と、ムッシュも私の後をついてくる。
ふたりして、無言でものすごいスピードで走って、風呂に入れられたばっかりの猫のように、びしょ濡れになって、そして、やっとモンジュ広場に着いた。


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